こんぬづわー、元・盛岡市地域おこし協力隊きのぷーです(*> ᴗ •*)ゞ
今日は、青森県五所川原市で開催された弘前大学大学院地域社会研究科公開セミナーに参加してきましたーレポートをお届けします!
地域商社研究に強い大学が東北にあるとは驚いた!タイミングよく公開講座開催とのことで、早速事務局に連絡して受講させていただくことになりました(^∀^)ノ
早速行ってみましょう!
2020年11月28日(土)、弘前大学大学院地域社会研究科(以下・同研究科)の公開セミナー「産学官金連携の可能性:地域商社とふるさと納税を中心に」が青森県五所川原市にある五所川原商工会館で開催され、私は現地で聴講しました
終了後、登壇者のお一人である同大学院教授・佐々木純一郎先生(地域社会研究科 地域社会専攻)と面会し、意見交換しました
同研究科所属の院生及び県内外の自治体関係者の参加が中心でしたが、出席者の中に、滝沢市地域おこし協力隊員が同市の担当職員とともに参加していました。
弘前大学大学院地域社会研究科 公開セミナー概要
普段は大学院生を対象に同研究科の授業カリキュラムとしている内容を、地域の社会人を対象に公開セミナーとして開放するものであり、これまでに講師それぞれが実践してきた様々な地域の課題とその解決の取組みをテーマに掲げて講義を行う
- 「古代を未来につなげる真の地域学の可能性」(11月・宮古市)
- 「産学官金連携の可能性:地域商社とふるさと納税を中心に」(11月・五所川原市)
- 「あらためて地域づくり人材をどう育てるか」(12月・三沢市)
今回のプログラム
- 「地域経済を持続させる地域商社の可能性」
- 講師:同研究科教授・佐々木純一郎氏
- 「産学官金との連携による新たな価値創造を手段とした“地域経営”のデザイン」
- 講師:同研究科教授・内山大史氏
- 「地方自治と地域経済のための「ふるさと納税」制度の課題」
- 講師:弘前大学人文社会科学部准教授・金目哲郎氏
- 「各地の地域商社の事例報告」
- 発表者:同研究科・院生 小野智憲氏
- 「NPOひろだいリサーチ附属ひろだい地域商社研究会について」
- 発表者:NPOひろだいリサーチ理事長 前田健氏
- 「地域ブランドと地域商社」
- 発表者:同研究科・院生 工藤洋司氏
式次第ではパネルディスカッションとなっていましたが、今回の講義や事例報告の振り返りと質疑応答の時間となりました。
きのぷーMEMO〜今回の講義から
「地域資源を活用した特産品開発・販売」は各地で盛んだが、マーケティング能力不足による失敗も多く、大きな課題となっている。この克服のために商社機能が必要
先進事例
- 村を丸ごと売り込み。物産展で顧客情報を獲得し、観光客を誘致
- 全国の若者を集め起業家育成を推進
- 岩手県出身の女子大生が宮崎へ移住、起業したケースも
- 「開拓者精神に溢れる宮崎に魅力を感じた」
- キーワードは「丁寧なコミュニケーション」「世界一チャレンジしやすい町」「地域間交流」
- 全国から注目されている組織の一つ
- 東北を代表する民間系地域商社。建設会社がプリンを開発(月色プリン)するなど,目玉商品も多い
- 普通の若手生産者が事業化できる地域商社に
- 若手農家に比重を置いた経営(若手農家と年配農家を混同したまま地域商社を始めると後々トラブルになって経営に悪影響を及ぼす(ことを回避したと思われる))
- 通年で雇用できる経営に取り組んでいる(農業法人が冬季に農業土木に従事)
失敗事例
- 出資金2000万円。設立2年で2000万の赤字
- 現在、他地域の民間系地域商社と連携し、経営再建に取り組み中
その他MEMO
自治体独自の経済政策が必要。そのためには地域間交流を通じて知恵を集めつつも、自治体職員も勉強が重要。
同研究科では金融機関の従業員を対象にした、地域産業の発展や地域の課題を理解し、取り組んでいけるセミナーを開催している。
人を呼び込む視点が強い地域ほど、社会教育に強い
ふるさと納税制度は使い方次第で地域を元気にする仕掛けだ。
泉佐野市の補助金付きクラウドファンディング型ふるさと納税制度は地域企業活性化を目指している。
- 寒河江市(44億2300万円)
- 山形市
- 酒田市
- 天童市
※岩手県1位は北上市(16億円)
質疑応答
きのぷーから質問
いの一番に手を挙げて質問しました
将来地域商社の創業を考えているが、私は生産者ではないため、最初は産地と店舗(顧客)をつなぐプロデューサーとしての事業展開を目指している。全国各地に沢山の地域商社があり、地域商社のあり方についてはある種正解がないと考えているが、創業にあたってのアドヴァイスをお願いしたい
- まずは「その地域が好き」「将来的に10年、20年と住み続けたい」か?
- 夕陽がきれいなところで何かやりたい、というような動機でもいい
- (その上で)その地域の地域資源、知られざる資源を見つけていく
- 自分が楽しめるかどうか
- 信頼できるパートナーを作れるか。ここがIターン者の肝
- 対外的なつながりを大事にする
- 事業の多角化は必須
いずれも「いわきユナイト」の取り組みが参考になるだろう
受講者からの質問まとめ
細かい地域課題に地域商社がどう取り組めばよいか
- 人の集団にどれだけアピールできるか
- 地道な合意形成をどこまで作っていけるか
- 性急に結果を求めないこと。数年単位で(時間が)かかる
- 例:青森県平内町藤沢地区の「直売所ふんちゃ」
- 2016年オープン。直売所も立派な地域商社
- まずは地域の地図を作り、資源を発掘するところから始めた
- 「みんなで楽しく活動できればいい」「商品は全品100円均一」からスタート
- 2年後、運営体制や顧客満足、品質管理など経営的思考が出始めた
- 利益の出る価格や売るための工夫を検討、商品開発、職業デザイナーの活用
- 例:青森県平内町藤沢地区の「直売所ふんちゃ」
地域商社発展の阻害要因は
- 一般企業との違いがないと、既存企業とバッティングしてしまう
- 企業、支援団体、行政との関係において、障壁を上手く取り払えるかどうかが鍵
- 地域商社の事業性、社会性について、議会でも理解が得られるようにしておく
- 直売所は一次元から見れば農家さんが株主(出資者) 力関係が 農家>直売所
本公開セミナーを振り返って
まず、東北に地域商社研究に強い大学があることに驚きました。そして、大学院レベルの高度な学術的な講義とのことで、開講前は身構えておりましたが、難しい理論の話はそれほど多くなく、成功事例の紹介を中心とした実践面に落とし込める内容でしたし、登壇された皆さまが、現場を知悉しておられることがよくわかりました。
地域商社創業の心得についてのご指南は盲点でした。難しく考えて行動できないぐらいなら、シンプルに捉えて走り出すことだと後押しいただいた思いです。
協力隊着任より丸2年になりました。今日まで思考のインプットとアップデートを着々と積み重ねてきましたが、ここからどうアウトプットし、周囲から応援していただけるか。次のフェーズに進みつつあると実感しています。これまで以上に、地域社会にお役立てできる生業づくりに励んで参ります。
関連ウェブサイト
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